合理的に安く!
1.多品種少量生産のブランド品には、無在庫販売が最適
2.もっとも低コストな独自ECサイト
3.仕入れ先は、少数の直営店・正規代理店
4.関税別の価格設定
価格を安くする方法は実のところあまりありません。なぜならば、高級ブランド品の最重要戦略とは、価格を維持することだからです。ブランド直営店や正規代理店は原則として定価販売です。正規代理店は店独自の販売奨励金等で多少値引きすることはありますが、それほど大きいものではありません。
地味ですが、各種経費を下げることが合理的に安くする方法です。
1.無在庫販売
さらに、アパレルを扱う場合、それにとどまらない別のメリットがあります。
アパレルはもともと多品種少量生産となりやすい業種です。あまりに膨大な種類を扱うため、直営店でさえ、その一部だけしか店頭に在庫として維持できなくなっています。店舗は買い物客が実物の商品を購入するだけでなく、店舗にない商品の取りよせ依頼をしたり、公式Onlineで注文をしたりする場になりつつあるのです。
つまり、直営店自体がもはや事実上無在庫販売を行うようになってきています。私もこれまでの販売実績を集計した結果、それを強く実感しています。店頭在庫だけでは買い物客の注文に十分には応じられなくなってきているのです。
無在庫販売は在庫負担無しに買い物客の多様な要求に応えられる販売形態です。わたしの売上実績からも読み取れます。 ※(販売実績から見えてくる特徴)
【結論】
・低コストで在庫負担のない無在庫販売を採用しています。
・無在庫販売は低コストで買い物客の多様な要求に応えられます。
2.低コストな独自ECサイト
オンラインで販売するについても、ECモールとECサイトでは販売コストが大きく変わります。当ストアは独自ECサイトを使っております。どれだけコスト削減ができるのかを示します。
当ストアはShopifyを使用しております。無在庫販売が同じように可能なブランド品販売ECモール(BUYMA)がありますので、当ストアと比較しました。
具体的に言うと、当ストアが同じ商品価格で両方で販売した場合、お客様の支払額にどれくらい違いが出るかを比べました。
買付価格・・・Purchase Price 経費・・・Cost 利益・・・Profit
出品者・・・Exhibitor 手数料・・・Commission
海外送金手数料・・・International remittance fee
運送保険・・・transportation insurance 購入者・・・Purchaser
あんしんプラス・・・BUYMA's own insurance
※運送保険料は別途各運送会社の規定に従います。そのため、ほぼ1.2%から2.5%前後ぐらいの変動があります。(2024年5月時点)
【前提条件】
1.買付価格、経費(配送費用、包装・梱包費用、税理士費用など)、利益は同じとしています。
2.関税・輸入消費税は双方とも同額が発生しますので、ここでは含めません。
【結論】
当ストアは、BUYMAより約6.47%低コストです。保険料抜きで計算しても約6.5%割安です。
机上の計算ですが、下記の通り安くすることが可能です。
10万円の商品・・・6,470円20万円の商品・・・12,940円
30万円の商品・・・19,410円
当ストアとBUYMAは細かく見ると前提条件で異なる点がたくさんありますので、単純にこの数字をあてはめるのは不可能で、実際にはこれだけ安くできるわけではないと思われます。しかし、そもそもの基本コストでこれだけ低コストにできるのは、独自ECサイトの大きな優位性です。
3.仕入れ先は、少数の直営店・正規代理店
仕入れ先はできるだけ少なくするのが重要です。
仕入れ先が多ければ多いほど、客の注文に応えやすくなるとつい考えたくなります。しかし、この考え方には大きな見落としがあります。
・特典の獲得
ひとつは相手側の意識です。優良な仕入れ先とは優良な会社です。すでにビジネス的に成功しています。新たな取引相手を獲得しなくても困りません。むしろ、新しい取引相手を値踏みします。手間ばかりかかって利益に結びつかないような相手を新しく迎え入れたくはないものです。
そんな相手に胸襟を開いてもらい、ビジネス上の利益になるような特典をもらうには継続的に発注し、きちんと支払い、信頼を得る必要があります。目先の些細な利益ではなく、長期的な信頼関係を築くことが必要です。
・リスク管理
二つ目としてリスク管理です。仕入れ先が増えれば増えるほど、相手側責任のトラブルに巻き込まれる確率が増えます。たとえ相手側の落ち度が原因であっても、顧客に損失や迷惑を与えたら、自分の顧客には自分で対応し責任を果たさなければなりません。
少ない仕入れ先ならば高頻度で接触しますから、仮に何かあったときにも、異変には気づきやすくなりますからすぐに対応できます。
具体的に考えます。例えば、ちょっとばかり安いという理由で、仕入れ先をころころ変えると、相手側の信用調査も十分にできませんから、偽物が紛れ込むリスクも高くなります。「売りたい相手」の中には、偽物をさばきたい連中もごろごろ存在します。
商品自体をじっと眺めて正しい真贋鑑定など普通の人間には不可能ですし、そもそも現実的ではありません。偽物が紛れ込まない買付ルートを確保したら、それを維持することが長期的にはもっとも合理的に低コストです。
【結論】
少ない仕入れ先から集中的に買い付けて、ビジネス上の特典を獲得する。あわせて、リスク管理コストも低く抑える。
※当ストアの中心となる仕入れ先は、直営店が2つ、正規代理店が2つの合計4つです。
4.関税別の商品価格
関税は購入者様の負担ですが、商品価格を関税別にした方が割安になります。「関税込みの方がわかりやすくて安心できる」という方は多いかもしれませんが、実は割高になるのです。もしくは、きわめて困難な場合があります。理由は以下の通りです。
1.原理的に高くなる
MonclerのClunyというダウンジャケットの実例です。(2024年1月)
A 関税別 総支払金額
商品価格 274,500円 関税 28,100円 合計 302,600円
B 関税込み 総支払額
商品価格 274,500円 関税 28,100円 +1,541円 合計 304,145円
なぜ、1,541円の差額が発生するのか。この差額が発生する理由は2にあります。関税込みにしてしまうと、Shopify手数料3.5%+0.25ユーロ、海外送金手数料2%という決済システムにのせてしまうために、約5.5%の手数料が発生してしまうのです。決済システムにのせないで、購入したお客様がご自身で支払えば必要のないコストです。
2.現地税金元払い請求手数料
発送側が関税支払いをすると、余分な費用が発生する。購入者が払う方が割安です
DHL Expressは関税、諸税を仕向地の荷受人ではなく、荷送人または仕向国以外の指名された第三者による支払いにすることが可能です。
関税、諸税、その他規制に基づく料金が現地で発生した場合に、一律料金または関税等発生した費用の一定割合に基づいた追加料金が請求されます。日本のDHLの場合、+3,300円または現地で発生した関税、諸税の2%のいずれか高い方を適用です。他国のDHLやUPSなどでも同じように発生するはずです。
3.関税込みの価格設定は難しい
根本的な原因として、事前に関税額を想定するのが難しいことがあげられます。実行関税率表があり、ある程度は計算することも可能ですが、改訂はありますし為替レートの変動もあります。さらにやっかいな問題もあります。前述のClunyの原産国は単一の国ですが、同じ商品でありながら異なる原産国が混在していて、関税額も異なる商品も存在するのです。
日欧EPAにより原産国がEU域内の衣料品を日本に輸入する場合、原則として輸入関税はかからず、輸入消費税のみとなりました。しかし、原産国がEU域外の衣料品の場合たとえヨーロッパブランドの商品であっても、またEU域内の国から輸入するときであっても、輸入関税は課税されます。具体的には次のようになります。
Moncler のMayaといダウンジャケットの実例です。(2024年 1月現在)
黒:ジョージア イタリア モルドバ ルーマニア トルコ
ナイトブルー:モルドバ ルーマニア
リーフグリーン:ルーマニア
オフホワイト:ルーマニア
イタリアとルーマニアはEU加盟国ですから、輸入消費税のみ課税されます。しかし、残りはEU非加盟国のため輸入消費税に加え、輸入関税も課税されます。
扱いに困るのは、黒とナイトブルーです。Moncler社は原産国を指定した注文には対応しておりませんから、どこの国で生産された製品なのか事前に知る方法がありません。わずかな差であれば商品価格は同じでかまいませんが、かなり大きな差額です。
買い付けた商品の原産国を見て「想定した関税額より高くなるので、追加料金をいただきたい」とお客様に言うわけにはいきません。あらかじめ一番高くなる場合を想定して、その金額分を上乗せするのが販売側としてはもっとも安全です。しかし、それは購入なさったお客様に余分な費用負担をしていただくことになります。
関税込みの価格設定をやろうとしたら、購入者側に不利な価格設定になりやすいです。メリットはないと言わざるを得ません。
【結論】
関税別の価格設定がシンプルで、割安です。関税は到着時にご自身で支払ってください。