価格比較 LATELTIN 2
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前回、「価格比較 LATELTIN (Moncler)」の続きです。
- LATELTINは実際に最安値でしたけれど、いつも最安値で提供できるのですか?
それはむずかしいです。説明は不要だと思いますが、ただの経営努力でなんとかなるものではない別の要因が大きく影響するからです。 - 常識的に考えて、常に最安値で販売できるとは思えません。たまたま安く販売できる商品だけを取り上げて「最安値です!」と宣伝するのは、あまりに都合がよすぎませんか?
おっしゃるとおりです。自分に都合のいいデータだけを恣意的に取り上げるのは正しくありません。
これからも価格比較記事をアップしていきますが、当ストアに有利な商品のみをピックアップすることはありません。
- 安い店が一様にBlueばかりというのは、なにか不自然です。なぜですか?
やはり気づきましたか!ここを手掛かりに始めます。
販売価格には流通が大きくかかわっています。
前回掲載したBUYMAにおける「LATELTIN安値トップ10」の店舗です。今回は買付地と発送地を追加しております。店名は伏せます。(2024.8.15時点)
順位 | 商品価格 | 色 | サイズ | 買付地 | 発送地 | アクセス | お気に入り登録 | 販売数 |
1 | 248,000円 | Blue | 1,2,3,4 | イタリア | 茨城 | 0 | 0 | 0 |
2 | 251,500円 | Blue | 1,2,3,4 | イタリア | イタリア | 5 | 0 | 0 |
3 | 251,600円 | Blue | 1,2,3,4 | イタリア | イタリア | 39 | 1 | 0 |
4 | 254,000円 | Blue | 1,2,3,4 | イタリア | 東京 | 136 | 8 | 0 |
5 | 273,600円 | Blue | 1,2,3,4 | イタリア正規取扱店 | 大阪 | 22 | 0 | 0 |
6 | 280,500円 | Blue | 0,1,2,3,4,5,6,7 | マドリード 正規直営店・正規販売代理店 |
マドリード | 21 | 2 | 0 |
Taupe | 0,1,2,3,4,5,6,7 | 0 | ||||||
Brown | 0,1,2,3,4,5,6,7 | 0 | ||||||
7 | 280,650円 | Blue | 0,1,2,3,4,5,6,7 | オーストリアMoncler直営店 | オーストリア | 6 | 0 | 0 |
Taupe | 0,1,2,3,4,5,6,7 | 0 | ||||||
8 | 283,490円 | Blue | 0,1,2,3,4,5,6,7 | スペイン 正規店/正規販売店 |
スペイン | 2 | 0 | 0 |
Taupe | 0,1,2,3,4,5,6,7 | 0 | ||||||
Brown | 0,1,2,3,4,5,6,7 | 0 | ||||||
9 | 291,000円 | Blue | 3,4 | ※出品停止 | ||||
Taupe | 0,1,2,3,4 | ※出品停止 | ||||||
Brown | 0,1,2,3,4 | ※出品停止 | ||||||
10 | 303,800円 | Blue | 1,2,3,4 | イタリア 正規代理店 |
福島 | 18 | 0 | 0 |
A.価格順位1位~5位および10位のストアは判で押したように、Blue、サイズ1,2,3,4とそろっています。しかし、TaupeとBrownの取り扱いはありません。そして、買付地はイタリアです。
B.Taupe の取り扱いがあるストアは、「正規直営店、直営店、正規店」となっています。
なぜこのような違いが生まれるのか?
Moncler社の販売方法に起因します。公式オンラインサイトを見ると、次のように記載されています。
Night Blue 0,1,2,3,4,5,6,7
Taupe 0,1,2,3,4,5,6,7
Brown 0,1,2,3,4,5,6,7 オンライン限定
これらから読み取れることは以下の通りです。
本来、販売できる色やサイズは可能な限り限定されないほうが、販売業者にとってはありがたいです。しかし、それが限定されるのは、買付先がいわゆる「直営店」ではなく、代理店ルートだからです。
言い換えると、Moncler社は正規代理店ルートへの卸売りについては色とサイズを限定しています。この場合、Blueのみ卸売りを行い、TaupeとBrownは含めないという扱いになっています。「お客様、TaupeとBrownが欲しかったら、直営店か公式オンラインで買ってくださいね!」ということです。需要が比較的多いサイズ1,2,3,4を提供していますから、代理店側としてもまずまずということになっているのでしょう。
さらに、代理店には別の制約も課せられています。仕入れ商品は買い切りであるにもかかわらず、欲しい商品だけを仕入れられるのではなく、欲しくない商品であっても、ブランドから配送されてくる商品は無条件で受け入れる契約となっている場合が多いのです。
こちらは、なかなかにきつい制約です。
代理店もプロですから、黙っていても売れそうな商品と、悪くするとシーズン終盤でセール品として処理することになりそうな商品のおよその区別はつきます。
売れそうな商品は定価で販売し、見込みの立ちにくい商品は多少利益率を削っても早めに売ってしまう算段を立てます。もちろん、効率的な資金回転のために売れ筋商品であっても早めに換金処理をする業者もいます。
ただ、ブランドとの契約でおおっぴらに安売りはできませんから、自店の登録会員限定のシークレットセールを行ったり、オンラインサイト上の表示価格は定価のままでも、カートに入れると自動的に割引になるような工夫をします。
別の方策として、B2Bサイトで業者向けの販売をするというものがあります。業者向けならば、限定された登録会員のみが閲覧できますから、ブランドから警告を受ける危険も少なくなります。
代理店が自分自身のオンラインサイトの別ページに限定公開のB2Bサイトをつくったり、業者向けに割引コードを設定するのはかなりポピュラーな手法です。また、代理店にはこのような需要がありますから、そうした代理店向けに会員制のB2Bサイトを開設して代理店に参加を募る事例もごく普通にあります。
というような事情がありますから、今回の「Blue,1,2,3,4, イタリア」という現象はある意味ごく自然な成り行きといえます。つまり、代理店に対してMoncler社は同じような契約をしていますからそれらの代理店からの買付ではないかと思われます。ひょっとすると、同一の仕入れ先ということだって考えられます。
最初、価格比較から始まりましたが、流通の話題に変わってきました。この流通が実はリスクをはらんでもいます。
その点については、また次回書きたいと思います。